概要[]
ジュラシック・パーク(Jurassic Park)は、1990年に出版されたSF小説。
著者はSF作家でお馴染みのマイケル・クライトンで、スティーブン・スピルバーグが映画化した「ジュラシック・パーク」の原作として広く知られている。
特徴[]
太古の昔に滅んだ恐竜を再生し、それを展示するテーマパーク「ジュラシック・パーク」を中心に物語が進展していくSFパニックサスペンス。 琥珀に閉じ込められた蚊の血液からDNAを抽出し、恐竜を蘇らせるという画期的なアイディアは当時、全世界の人々に衝撃を与えた。
映画同様、システムトラブルで恐竜が脱走、襲撃をかいくぐり島からの脱出を目指すといったパニック要素は存在するが、娯楽色の強かった映画版に比べ、こちらは「生命に対する尊厳」「技術の進歩による人間の過信・軽率」といったテーマが色濃く描かれており、エンタメよりかは社会的なメッセージを詰め込んだやや堅苦しい作風となっている。 映画では準主役級の扱いをされていたティラノサウルスが、小説版だとあまり大きな活躍をしない点もそれを裏付ける。
そのため「映画の時の感動をもう一度!」というテンションで見ると、やや肩透かしを食らってしまう作品となっている。 とはいえ全く楽しめないわけではないため、興味のある方はAmazonや図書館などへ赴いて是非一読してみよう。
登場人物[]
本作の主人公。映画とさほど変わらない理由でパークに赴いた。
映画版と違い初老を迎えたオジサンであり、子供が好きという特徴がある。
グラント博士の弟子で大学院生。 古植物学を専攻している。
若くして将来連れ添う予定の許嫁がいるなど、ビックリするほどリア充ちゃんである。
テキサスの数学者で、専門は「カオス理論」。 映画・小説共に設定がそこまで変化していない数少ない人物でもある。
インジェン社のCEOで、ハモンド財団の創設者。
金に汚く、自身の野望を叶えるためなら人の命ですらゴミのように扱う卑劣漢で、パークのスタッフからの人望は皆無に等しい。
ハモンドの孫で、愛称は「ティム」
若干11歳の少年ながらも、古生物に関する知識が豊富で、グラント博士やマルドゥーンからも一目置かれている。
ハモンドの孫で、愛称は「レックス」
ティムの妹にあたる存在で、性格はとてもわがまま。 ちなみに野球が好きらしい。
インジェン社の顧問弁護士。 ハモンドを快く思っていない。
非常に憶病な性格だが、いざとなれば命を賭けてラプトル蠢く場所へと赴き問題解決に尽力するなど、やる時はやるラノベ主人公のような人物。 また弁護士設定のキャラクターにしては、非常にまともな感性を有しており、終始胡散臭いハモンドに対して警戒心を向けたり、パーク関係者の誰一人として耳を貸そうとしなかったマルコムの理論について同調するそぶりを見せていた。
パークにて勤務する遺伝子学者で、恐竜を生み出した張本人。 ただし恐竜の作成に関しては慎重派の姿勢を取っており、とにかくリアルな恐竜を作れというハモンドとは常日頃から意見が割れている。
パークがシステムトラブルでダウンした際は、積極的に復旧作業を行ったり、終盤ラプトルに襲われたサトラーを助けるために自ら盾になったりと、ワールドシリーズからのファンが見ると「誰だお前?」とビックリするくらい聖人っぷりを見せた。
恐竜の監視委員を務める人物。 アフリカにてガイドをしていた過去がある。 その時の経験と知識から、恐竜を管理することの重要性と彼女らに秘められた底知れぬ恐ろしさを理解している。
パークがシステムダウンした際は、戦闘員として恐竜たちと対峙。 アフリカ時代の手腕を存分に発揮し、映画版以上の活躍を見せた。
パークに勤務している獣医のおっさん。
映画ではトリケラトプスの治療にあたったのち、いつの間にか本土へと帰還していたが、本作では主人公勢と共に島へ残り、自分の持ち得る知識をフル活動させてトラブル解決に向け尽力する。
パークのエンジニアとして勤務する男。 勤務態度が最悪らしく、ハモンドを含めた職員からのウケは良くないが、単独で塩基解読用のスーパーコンピューターを作成するなど、手腕だけは確かなものだった。
社内における待遇の悪さを原因に謀反を決意。 保管されていた恐竜の胚を盗んだことが、この小説における大事件のきっかけとなってしまう。
パークのチーフエンジニアとして勤務する男。
元来真面目な性格で勤務態度もいいためか、職場における評価は高く、ハモンドですらもその手腕を認めるほど。 一方でネドリーとは性格の不一致ゆえか、そりが合わない様子。
小説限定のオリジナルキャラクターで、パークの広報担当。
映画でいうドナルド・ジェナーロのような人物で、彼と似たような末路を迎える。
パークのスタッフとして勤務していた18歳の青年。
序盤、ラプトルに襲われたケガが原因で死去。 この時に起こった事故が物語を動かすきっかけとなる。
インジェン社のライバルことバイオシン社の研究員。 ネドリーに恐竜の遺伝子を奪うよう依頼する。
登場する古生物[]
- アパトサウルス
- エウオプロケファルス
- オスニエリア
- カロヴォサウルス
- ケアラダクティルス
- スティラコサウルス
- ステゴサウルス
- ティラノサウルス
- ディロフォサウルス
- トリケラトプス
- ハドロサウルス
- ヒプシロフォドン(ドリオサウルス)
- プロコンプソグナトゥス
- マイアサウラ
- ミクロケラトゥス
- メガネウラ
- ヴェロキラプトル
映画との相違点[]
- キャラクターの設定と末路
- 登場するキャラクターの大部分が、設定その後の顛末ともに映画版と大きく異なっている。 詳しくは各キャラクターの項を参照のこと
- 登場する恐竜
- 映画版と比べて、登場する恐竜の数が(設定のみも含めれば)12種類に増えている。
- 成体のティラノサウルスに加えて、子供のティラノサウルスが登場する。
- ちなみに人間を捕食する描写があるのは、子供のティラノサウルスのみで、劇中たった一回しか存在しない。
余談[]
- 小説にて描かれていた方法で恐竜を生み出すことは、現代の科学技術では不可能とされている。
- その理由はDNAの保存期間にあり、遺伝子というものは年数が経過することに徐々に劣化していくのだが、化石や遺体からDNAを摘出できる限界がおよそ100万年とされている。 そのため6,600万年以上も前に絶滅した恐竜を復元することは、物理的に不可能という結論に至っている。
- 尤も、この作品が発表されて数十年経った現在においては「恐竜を生み出すための技術が完成しそう」と言った話もチラホラ聞こえるようになったため、もしかしたらという気はしなくもないが......
- その理由はDNAの保存期間にあり、遺伝子というものは年数が経過することに徐々に劣化していくのだが、化石や遺体からDNAを摘出できる限界がおよそ100万年とされている。 そのため6,600万年以上も前に絶滅した恐竜を復元することは、物理的に不可能という結論に至っている。
- 映画にて登場するティラノサウルスことレクシィの名前は、この作品が初出である。
- 一作目に登場したティラノサウルスには「ロベルタ」という愛称が付けられていたが、あくまでスタッフの間で使われていた愛称だったが故に劇中でその名前が出ることはなく、当小説の名前がファンの間で広まったことで「レクシィ」の名前が公式で使用されるようになった。
関連項目[]
- ジュラシック・パーク(始まりにして頂点)
- マイケル・クライトン