そして
何かが生き残った...
概要[]
ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(The Lost World:Jurassic Park)は、1997年に公開されたアメリカ映画で、映画『ジュラシック・パーク』の続編にあたる。
ジュラシックパークシリーズ第2作目にあたる本作では、野生化した恐竜が暮らす島「イスラ・ソルナ島」にやってきた人間達によるサバイバル劇が展開される。
生命の尊厳などをテーマにしていた1作目とは異なり、本作ではまっすぐストレートがテーマの超本格的なアクション映画として制作されている。 ただし100%アクションに魂を売ったわけではなく、それぞれの思惑を持った人間達が織り成す人間ドラマなどもしっかりと展開される。
対する恐竜サイドも万全の陣営で人間達をお出迎えしており、前作でお馴染みのヴェロキラプトルや人類サイド最大の障壁であったティラノサウルスがなんと3頭も登場する。 その他今作からの登場恐竜としてステゴサウルスやコンプソグナトゥス、特別ゲストとしてプテラノドンも参戦。 恐竜の追いかけっこや人間の踊り食い、そして街中で大暴れするティラノサウルスなど迫力満点なシーンの数々を、スピルバーグの巧みな手腕でガッツリ見せてくれる、骨太な作品に仕上がっている。
家族や友達、パートナーと共に見るにはうってつけの作品なので、まだ観たことがないor昔見たけど内容忘れちまったなぁ〜と思っているあなたに是非オススメしたい一品である。
ストーリー[]
コスタリカの沖合いに浮かぶ離れ小島、イスラ・ソルナ島。そこは“サイトB”と呼ばれる、<ジュラシック・パーク計画>において恐竜をクローン生産させるための拠点だった。悲劇から4年が経ちハモンドの会社は倒産寸前、ハモンドの甥で、今やインジェン社の社長となったピーター・ラドローは恐竜を生け捕りにし、見せ物にする計画を発表する。マルコムはハモンドに閉鎖された島を調査する調査隊のリーダーを依頼されたが、一度は断る。だが恋人の恐竜学者サラがすでに出発したことを知り、慌てて彼も“サイトB”へ向かった。
本作の見所[]
- ジョン・ウィリアムズにより新たに作曲されたロスト・ワールド/ジュラシック・パークのメインテーマ曲
- 恐竜ハンターの恐竜捕獲シーン
- エディがトレーラーの滑落を止めるため車で牽引するシーン
- T-REX夫妻によるのキャンプ襲撃
- ヴェロキラプトルテリトリーからワーカー・ビレッジでの逃走シーン
- バックによるサンディエゴ蹂躙シーン
製作[]
マイケル・クライトン著の「ジュラシック・パーク」は全米で大ヒット、多くのファンとリピーターを得るに至ったが人気になると当然「これの続編はいつ書くの?」という声が上がるのが世の常である。 ところが彼は今まで自著の続編を書いたことがない、というより執筆するのに消極的だったこともあって、最初は「もう続編はやらん」と表明していた。
そこから月日が流れて、スピルバーグとかいう若い映画監督が「ジュラシック・パーク」を映画化し、ものの見事に大ヒットを飛ばす事態が発生。 今度はファンのみならず映画業界からも「続編書け、続編書け」コールを受けたことでついに折れたクライトンは1995年に「ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-」を発表。 そして翌年に映画化されることになったのが当作品が生まれるきっかけである。
撮影[]
撮影はカウアイ島のプレーリークリークレッドウッド州立公園、パトリックスポイント州立公園、カルフォルニア州バーバンク、サンディエゴで撮影された。 映画の前半部分がイスラ・ソルナ島としてカウアイ島の内部が逐一映されるが、後半におけるサンディエゴの街並みは、ほとんどバーバンクで撮影されており、実際にサンディエゴの街並みが映るのはたった1箇所のみだという。
映画の後半でティラノサウルスが、街を蹂躙するシーンは1925年公開の映画「ロスト・ワールド」が元ネタになっているとされており、一説にはゴジラをイメージしたともされている。 (登場人物の1人が「アメリカに来て何でゴジラに襲われるんだ」というセリフを吐くシーンが存在するが、このシーンは日本限定仕様だという。)
音楽[]
今作における音楽担当は当然のごとく「ジョン・ウィリアムズ」で、今作だけの新規オリジナル曲を作ってくれとお願いされたのか、前作から引き続き使われる音楽はほとんどなく、かの有名な「Jurassic Park Theme」も流れされなかった。 (ただこの曲が恐ろしくカッコイイ)当時は「アミスタッド」や「セブン・イヤーズ・イン・チベット」などの作曲も担当していたこともあって、非常に慌ただしいスケジュールの元、曲が作られたそうだが、完成したスコアは今作ならではの要素であるワイルドでカオスな雰囲気をしっかりと盛り込んだ名曲ぞろいで、本作の世界観に引き込ませるためのアクセントの役割を存分に果たしている。
原作との違い[]
- 恐竜ハンターが登場する。
- ソルナ島の地形が異なる。
- ジャック・ソーン、リチャード・レヴィン、アービー・ベントン、ハワード・キング等、その他のキャラクターが登場しない。
- ニック・ヴァン・オーウェン、ピーター・ラドロー等の新キャラが登場した。
- 原作でティラノサウルスの子供に殺されたのがドジスンだったが、こちらではピーター・ラドローに変更された。
- エディ・カーが20代の若者から中年男性に変更された。
- サラ・ハーディングが黒髪のショートヘアから茶髪に変更された。
スタッフ[]
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 製作総指揮:キャスリーン・ケネディ
- 原作:マイケル・クライトン
- 製作:キャスリーン・ケネディ、ジェラルド・R・モーレン
- 脚本:デビッド・コープ
- 撮影:ヤヌス・カミンスキー
- 美術:リック・カーター
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- SFX:インダストリアル・ライト&マジック
- 特殊効果:スタン・ウィンストン
キャスト[]
- イアン・マルコム - ジェフ・ゴールドブラム(大塚芳忠)
第1作目に登場した数学者でカオス理論を専門としているおっさん。 前作とは雰囲気が変わり男のフェロモンギンギンの渋い男になっている。
マルコムの元恋人で古生物学者。 本作におけるヤベーやつその1。
- ケリー・カーティス・マルコム - ヴァネッサ・リー・チェスター(渕崎ゆり子)
マルコムの娘で体操が得意。 マルコムの元妻との間に生まれた子であるため、サラとは血縁関係にない。
- ニック・ヴァン・オーウェン - ヴィンス・ヴォーン(平田広明)
サラに着いてきた若い男。 その正体は自然保護運動家の一員で、今作におけるヤベーやつその2。
調査団の一員で、エンジニアを務める。 見てくれはツルッパゲの中年オヤジだが、実際は非常に勇敢で頼り甲斐のある男である。
- ジョン・ハモンド - リチャード・アッテンボロー(永井一郎)
インジェン社のCEOで、ジュラシック・パークを作った張本人。 今作では自身の生み出した恐竜達を保護する活動を行なっており、マルコムに無理難題を押し付けてくる。
前作に登場したハモンドの孫娘。
前作に登場したハモンドの孫、車内で吐いた子供と同一人物なのかと思うくらい成長している。
- ピーター・ラドロー - アーリス・ハワード(牛山茂)
ハモンドの甥で、今作におけるクソ野郎枠。 典型的な利己主義者であるが、アクティビティな一面もある。
- ローランド・テンボ - ピート・ポスルスウェイト(麦人)
ラドローが雇った恐竜ハンター団のリーダー。 立場的に悪役だが、子供や女性に気遣ったり仲間の死を悲しんだりと優しい面もあり本作において数少ないマトモな人物の1人でもある。
- ディーター・スターク - ピーター・ストーメア(神谷和夫)
恐竜ハンターの一員で、非常に粗暴な人物。
- ロバート・バーク- トーマス・F・ダフィ(塩屋浩三)
恐竜ハンターの一員で古生物学者。 誰もが思い描く学者先生の姿をしている。
- アジェイ・シドゥ - ハーヴェイ・ジョンソン(小島敏彦)
恐竜ハンターのサブリーダーで、ローランドの右腕的人物。 だが異常なまでに影が薄い。
- カーター - トーマス・ロサレスJr.(辻 親八)
恐竜ハンターの1人。 一言でいえばただのモブだが、とある理由で目立ちまくっている。
映画に登場する恐竜[]
主演恐竜[]
友情出演[]
トリビア[]
- 映画に登場するメルセデス・ベンツのユーティリティ車「Mクラス」は映画公開当時まだ一般公開されておらず、この作品で初めて日の目を見ている。 その縁もあってか北米版のVHSには、メルセデスベンツの広告が表示されるとのこと。
(映画を見た人の何人が買えたのだろうか)
初期脚本[]
実はこの映画の脚本を担当したデヴィット・コープは、スピルバーグのために九つほどシチュエーションアイディアを考えていたが、それらが採用されることは無かったという。そしてここにそのアイディア7つを著していく。
- 死んだパラサウロロフスのオープニング
マイケル・クライトンの原作ロスト・ワールド-ジュラシック・パーク2-と同様に始まる。 原作はレヴィンがビーチにコスタリカの海岸に流れ着いたある動物の死体を調べて始まるのだが、その途中、コスタリカ政府が来て火炎放射器で死体を焼却して恐竜が本土に入ったことを隠蔽する。 日本の漁師が網で死んだパラサウロロフスの死体をすくい上げて始まり、インジェン社が恐竜を復元したという事実が世界に広がる危機に瀕した。と言う小説に似た展開を作ろうとしたが最終的には没にされた。 このために製作したパラサウロロフス模型は結局映画でティラノサウルスの巣のセットとして登場した。
- デヴィッド・コープの初期脚本
この企画案は最終企画案と似た点も多かったが、他の点も多かった。 特に最後のエンディング部分は全く違う。調査隊メンバーにジャトソンという古生物学者が参加する予定だった。 ジャトソンは恐竜ハンター団のバークとライバル関係で過去に互いに頻繁に対立をした。(後にこの設定はサラが引き継いだ。) ジャトソンはたまにサラと恐竜の話をしたり、エディが一行を救いに行った時にケリーと高台に残るなど脚本上大した活躍は無かった。そのせいで 最後は通信センターから脱出をする際、突然襲ってきたヴェロキラプトルに殺される予定だった。
- いくつか恐竜ハンター団の人員の悪い面が強調される。
一例として、ラドローはハモンド宅を訪れたマルコムを侮辱して挑発し、憤ったマルコムがイスラ・ソルナに行くことに決めるようにする。最終脚本では酒に酔ったラドローが驚いて倒れた事でジュニアの脚を踏んで折ってしまうが、ここではわざと壊した。 ラドローはもともと人命被害を懸念して草食恐竜だけを捕獲する予定だったが、ジュニアを見て子供の肉食竜は大丈夫だと思い巣にいるジュニアに迂闊に近づくのだが、ジュニアはラドローにぶつかりラドローの鼻を折る。怒ったラドローはローランドの銃を棒のように振り回しジュニアを骨折させた。 当然ローランドは憤慨するが、ラドローは持ち運びやすくなったと気にしない。 また、バークはジャトソンとのライバル構図が形成され、しっかりとした面貌が強調され、決定的な面として通信施設に行った途中、偶然恐竜の卵を拾って夜にフライをするボトルク愚行を犯す描写があった。 その後、滝で隠れたニック、サラ、ケリーについて来、バックが頭を滝に突っ込むと、自分だけ生きようとケリーを押し出して土壁掘り下げようとするが、掘り下げる途中土の山が崩れ、そこから数十匹のゴキブリが出てバークに群がり、驚いたバークは滝の方へ逃げたら案の定バックに喰い殺された。 マルコムが前作でレクシィによって出来た怪我の後遺症のために歩くときに杖が必要だという設定があり、 他にもマルコムが麻酔銃の銃口に口を突っ込んだラプトルを射殺する場面もある。
- ローランドの悪の面貌を見せる場面
ローランドは環境主義者であるニックも知っているほど名声の高いハンターで、過去のアマゾンで他の狩猟方式は非道徳的だとし、槍だけでジャガー狩りをしたという。 作中でも狩りを動物との決闘と見て、近くで動物を狩ることを好んでいた。 ジュニアで罠を作る時、ラドローがスコープ付狙撃銃や猛毒を利用して狩るのが良くないかと尋ねると、軽蔑する口調でいっそ人工衛星レーザーで狩りをしろと皮肉した。 島の中央にヴェロキラプトルがいて危険だというマルコムの言葉にも「私が一緒にいるから問題ない」と堂々と言い、最後に生存者が通信センターに到着した時、周辺にT-Rexの尿を振りかけてT-Rexの領域であること示して他の恐竜が 簡単に攻撃できないようにしていた。(ローランドはT-Rexの足跡に溜まったところから尿を取ったと言及していたことから、ジュラシック・パークⅢでエリックがT-Rexの尿を採取したのも同じ方法と考えられる。) そして、状況がある程度整理されると、再びティラノサウルスを狩りに行った。 最後は生存者がラプトルによって窮地に追い込まれると、自分がティラノ狩り用に持ってきた銃でラプトルを射殺し、生存者たちを救って共に脱出した。
- 通信センターのプテラノドン
通信センターで一行が呼んだヘリコプターが到着し、生存者たちはヘリコプターに搭乗しようとするが、その途中サラが何かを悟った。 通信センターに初めて到着した時、何かが硬く固まった白い物体が様々な所にあるのを見て、それがグアノであることに気づいたのだ。 この時ラプトルたちがジャトソンを殺し、生存者たちはバラバラに散らばった。 この時屋根に上がってきたマルコムは、いくつかの欠片が整えられているのを見て奇妙に思う。 ラプトルから逃げたケリーは屋根が崩れながら中に落ち、そこで卵と巣を発見する。 それはプテラノドンの巣であり、卵が壊れたことに怒ったプテラノドンがヘリコプターを攻撃し始めた。 その後、何故かプテラノドンたちはヘリコプターを放置、ヘリコプターは無事に島を抜け出し始めるた。 パイロットは最初ヘリコプターのプロペラでプテラノドンを攻撃しようとするが、サラがそれを阻止し、プテラノドンたちは自分の巣を守るだけだと言う。 プテラノドンはヘリコプターが高い高度に離陸すると、本当に攻撃を中断し、大人しく去って行き、ヘリコプターが本当に去るかどうかを確認して巣に戻って行った。
- ティラノサウルス、ローランド、ラドロー
生存者を通信センターに避難させたローランドは、生存者達が引き留めるも再びティラノサウルス狩りに行く。 するとティラノとジュニアが一緒にいると思ったラドローはティラノ一匹だけでもインジェン社を破産の危機から救うことができると思ってローランドに従う。 さっきティラノが狩りをしていたゾーンに来たローランドは、水辺で何かが水を飲む音を聞く。 すると、さっきティラノの尿を持って行く時の共に持って行った焚き火の灰を一握り取り出して風に吹き飛ばして風が逆風で吹いていると言い音源に向かう。 予想通りその音は水を飲んでいるティラノで、ローランドはティラノに銃を向けるが、ラドローが誤って木の枝を踏みながら音を出した。 ローランドはラドローを睨んではティラノを再び見るが、水を飲んだティラノは消えていた。 続いてティラノを追跡していたローランドは火山岩のある地域に入ってきて巨大な緑色の岩を見る。 そうして木が揺れるのを見たローランドは再び灰を取り出し、今度は風の方向が変わったことに気づいた。 この時、後ろにあった緑色の岩が動き出すが、それは岩ではなく寝ていたティラノサウルス・バックだった。 二人は凍りつき、ローランドはラドローにティラノが食事をしたばかりで自分たちを襲うことは絶対無いはずだから動かないように頼んだ。 ラドローは動かなければティラノを撃つことができないと言うが、ローランドはティラノが勝ったと諦めろと言う。 それから関心がなくなったバックはジャングルに戻るが、この時ラドローがティラノを銃で撃つ準備を始めた。 ローランドが慌てて阻止するが、時既に遅し。ラドローはティラノに突撃小銃を撃ち込んだ。 だが、ティラノサウルスが予想より早く駆けつけてきて、ラドローを咥えたまま巣に持ち込み、そこでジュニアがラドローを殺した。
- ハモンドの葬儀 映画の最後はハモンドの葬儀で終了した。
ハモンドの葬儀に来たマルコムとケリーは、レックスとティムに出会う。 レックスとティムはマルコムに考えた結果、おじいちゃんも望んでいた恐竜の存在を世間にあらわにしたことを決めたと伝えた。 マルコムは恐竜達が世界に知られたら恐竜達の存在は消えると二人を引き留めた。レックスは事実を明らかにしなければならないではないかと尋ねると、マルコムは「僕達だけが知っていても事実は変わらないさ。現実とはそういうことだよ。誰も信じなくたって消えはしない。顔に吹きつく冷たい風は肌で感じるだろう?これは事実だ。生きて呼吸をする我々四人は?これも事実だ。きっと本当に大事なのは、こういうことだろう。」そう言い終えると、イスラ・ソルナ島の背景を映しながら映画は終わりを迎えた。(なお、この結末は小説版のソーン教授の台詞に似ている。)
ギャラリー[]
外部リンク[]
https://imsdb.com/scripts/Jurassic-Park-The-Lost-World.html(初期脚本)